渡辺多恵子『風光る 25』(小学館)を読了。内容は、土方歳三青春時代の点描、河合耆三郎粛正、深雪太夫落籍の3題。メインエピソードは河合事件で、深雪太夫のエピソードは次巻に続く。年号はすでに慶応。薩長同盟が成立し、第2次長州征伐前夜が舞台となっている。
河合耆三郎の粛正については詳細がわかっていない。粛正そのものは歴史的事実として疑いはないが、切腹だったのか斬首だったのか、そもそもなぜ勘定方の能吏が粛正されねばならなかったのか、現在でもその理由は明らかになっていない。ただ新選組隊士の墓とは別に、壬生寺には、河合の遺族が建てた立派な墓があり現存している。そのこと一つを取っても、新選組と遺族とのやり取り、河合本人が新選組に参加した経緯、新選組での彼のポジション等々さまざまなことが想像され、実際、河合の粛正事件は多くの作家のイマジネーションを刺激してきたようだ。最近放送された(って2004年だが)三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『新選組』では、五番組長の武田観柳斎に金を無断で貸したことが原因という設定になっていた。(その前後のストーリーがなんとも後味の悪いものだった。)
この『風光る』では、この事件の背景として従来から考えられてきた複数の説を組み合わせてストーリーが構成されている。深雪太夫の身請け、隊士の遣い込み、河合本人の脇の甘さ。人物像としては、大店の御曹司であり、気弱な文官として描かれている。しかし、一方で、池田屋事件にも参戦し褒賞金をもらっている事実もあるから、実際には文武両道に秀でて腕の立つ者であったのかもしれない。そもそも河合のような大店の御曹司が、新選組のようなある種愚連隊のような集団に、なぜ初期の頃から参加していたのかも、大いなる謎ではある。
新選組の後期における粛正事件は陰惨なものが多い。これからどうやってそれらを描いていくのだろう。沖田総司の労咳もまだ描かれていない。なんだかんだいって、これからも目が離せない漫画ではある。

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